HITORIGOTO
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G4購入記
その2:モリサワにもの申す



 年が明けたら忙しくなってしまい、1月はG4どころではなかった(おかげでPSプリンタも同時購入できそうになったが)。2月に入り、ようやく落ち着きはじめたので、具体的にあれこれ考えはじめた。そしたらなんと、G4のクロック周波数が50づつ上がった。しかも値段据え置き。

ラッキー!!

もっとも、これはG4発売前の設定に戻っただけのことだが。最初クロック周波数400・450・500という設定で売られることになっていたG4は、CPUの供給の問題で350・400・450に落とされて販売されていた。1月がヒマだったら、この50MHz損した(?)マシンを買うところだった。果報は仕事して待て?

 問題は一つづつクリアしていくことにした。まず、事務所の狭さ。ウチの事務所にはトレスコープという機械がある(ちょっと年輩の?同業者の方ならご存知ですね)。デジタルになった今では全く使い道がないのだが、昔はデザイナーにとってペンと三角定規の次に必要だったものだ。独立当初、どうしてもトレスコープが必要な仕事があり、知り合いのツテで頂いてきたものだ。これがでかい。しかし現在はその仕事もなく、ただの物置になっている。それとコピー機。リースではなくレンタルで格安で使わせて貰っていたのだが、いや、ほとんど使っていない。これらは処分しよう。コピーがどうしても必要なときは、近くのコンビニへ走ろう。もしくはFAXでとる、あるいはスキャナーでスキャンしてプリントアウトするか…。とにかく、どうにかなるだろう。(なるのか?)
コピー機は業者の方に持っていってもらった。トレスコープは悩んだ末「便利屋」に処分してもらった。(事務所の部屋から一人では運び出せないし、エレベーター無しの3階から移動する体力にも自信がなかったから…笑)
便利屋/運搬、廃棄料----18,900円。

 USBの問題は幸いQuarkXPress4.0ユーザーなので「iMate」という変換アダプタがもらえるはずだ。G4を購入したら申し込むことにする。買ってもたいした値段じゃないと思うけど(詳細はQuark Customer Support)。iMateを経由すれば今使っているキーボードとマウスも使えるはずだ。なにしろ、あの丸形マウスには当分手になじみそうもない。QuarkXPress3.3でのドングル接続は動作保証していないが、DTP関係のHPなどを覗くと「RAINBOW」製のドングルならいけるらしい。これはぜひ、検証してみよう。
税金は計理士さんに相談したところ75万までなら資産税を免れるそうだ。(注:あくまで私のケースです)G4本体とPSプリンタだけなら、なんとかその範囲内に納められそうだ。10万円以内の細かい物は別途購入することにする。
OS9.0。これは慣れるしかないだろう。でも念のため8.1が入れられないか試してみる価値はあるかもしれない(無いか?)。ポリタンクのデザインは…しょうがない。あきらめ(笑)。

 さて、一番問題なのがモリサワフォント。もともとモリサワのフォントはコピープロテクトがかかっていて、インストーラーのフロッピーディスクが一度インストールしたHDの製造日を読み込み、他のHDには2度とインストール出来ないような仕掛けになっている。だからHDを初期化してしまうと、もうそのマシンでは使えなくなってしまう(HDは初期化すると製造日が変わってしまうため)。なにやらのツールで製造日を元の日付に書き換えれば多分使えるのだろうが、やり方もわからないし、そこまでする気もない。だいいち、これは犯罪だ。(違う?)
しかもG4にはFDドライブがない。サードパーティ製のG4対応FDドライブを購入すれば良いのだが、古いタイプであるOCFフォントはインストール出来ないようになっているらしい(NewCIDなら、メーカーによっては可能。詳細はモリサワHP/ホットニュース)。これはきっと、新しいタイプのNewCIDフォントに買い換えさせるためのモリサワの陰謀だろう(笑)。商売っ気がミエミエ。ただ、これは「G4では使えない」のではなく、あくまで「インストールできない」ということであり、インストールの壁さえクリアすれば使う方法はあるらしい。G4以外のマシンでHDにインストールを行い、それをG4に装着すればOKだそうだ(推奨はされていないが)。ということは、外付けHDにインストールし、それをG4の起動ディスクにしてもいいのではないだろうか?調べてみたらあった。Macintoshトラブルニュースに青白G3で外付けHDを起動ディスクとして使用することで、OCFが使えたという事例を見つけた(Macintoshトラブルニュース・99/5/7MacintoshトラブルData Archibes)。G3でいける、ってことはG4でもいけるはずだ。
OCFからNewCIDへのバージョンアップ代は1書体につき3,000円(2月一杯までは無償)。なにも無理してOCFにこだわらなくても、と思うかも知れない。ところがどっこい、私のお客さんは一人としてCIDフォントに対応していない。私一人がNewCIDに変えても、周りの環境がそれを許さないのである。印刷業界は想像以上に保守的な世界である。一度構築した環境を変えることは、なかなか出来ることじゃない。本来、制作者サイドである私の方から環境を変えてゆくべきかも知れないが、実際の立場はしがない下請けである。そう簡単にうまく行くとは思えない。
おまけに今回はプリンタも買い換える。実は今までプリンタ購入時に付いてきた基本5書体意外のフォントは、画面表示用のATMだけを購入し、その都度フォントをダウンロードして使っていた。もしくはビットマップを使用。これだとプリントアウトに時間がかかるだけでなく、字間もきたない。ビットマップじゃなおさら。この際プリンタフォントも購入して快適に使いたい。で、OCFフォントは2月一杯で販売終了。うむむ。どうするべきか…。
OCFフォントを購入し、プリンタにダウンロードしてから無償バージョンアップ期間の今月中にNewCIDにバージョンアップするのが、一番お得な方法だろう(ライセンスはプリンタ1台につき1ライセンスなので、両方持っているというのは本来は違反かも?)。しかし今から購入しても2月一杯の無償バージョンアップ期間には間に合わないだろう。2000年7月までは1書体につき3,000円でバージョンアップできる。有償なのはこの際我慢して今しか買えないOCFを買うべきだろうか?

 自分の製品を売りたいのは当然だろう。しかし、これだけ需要があるのに、なにもあっさり切り捨てなくてもいいのではないだろうか? QuarkXPressもしかり。これからDTPをはじめようとする人は、現状スタンダードと言えるQuarkXPressのバージョン3.3を、いくら金を積んでも購入することができない。にもかかわらず99,000円というばかげたバージョンアップ代のため、世間は一向に4.0へと移行しない。私も4.0へとバージョンアップしたものの、一度も仕事で使わせてもらえない。周りが対応してくれないのだ。adobeから今年出るinDesignの出来によっては、大方の予想通りQuarkXPressは業界標準の座を滑り落ちるかもしれない。モリサワフォントにしても、殿様商売がすぎる。確かにフォントのデザインは、想像を絶する労力が必要だろうし、フォントデザイナーのためにもキチンとした料金設定が不可欠だろう。私が多少、タイトル文字などをレタリングするのとは訳が違うことも解るし、写植時代はメインプレートが100万円以上したことを考えれば、現在のフォントの値段は消費税分にも満たないかもしれない。しかし、それにしても高すぎる。もしモリサワフォントが、ツルータイプやダイナフォント並の価格設定なら、違法改造フォントはこれほど出回らなかったと思し、今頃みんなでNewCIDに移行していたはずだ。ツルータイプやダイナフォントに出来て、なぜモリサワにはあのような価格設定が出来ないのだろうか? 写植あがりの自負? いや、どうしもそこに、独占商売人の根性を感じてしまうのは私だけだろうか? 写植オペレータさん達と心中を決めた(?)写研の方が、よっぽど潔い気がしてならない。

 ウダウダと悩んでいるところへ、MacOS Xの情報が流れてきた。なんとOpenTypeという、さらに新しいフォントフォーマットがシステムフォントとして搭載されると言う。これはひょっとしたらNewCIDはQuarkXPressと同じ道を歩むかもしれない。つまりNewCIDに世間が移行する前に、OpenTypeが標準となる可能性だってある、と言うわけだ。モリサワの商売のやり方に何となくしっくりこないし、NewCIDに移行するかはもう少し様子を見た方が良さそうだ。こうなったら意地でもG4でOCFフォントを使ってやる。で、結局本文に使いそうなフォントは買い足し、タイトル文字等に使う書体はATMインストーラーを新しくして貰うことにした。
モリサワOCFフォント7書体追加購入…208,698円
やばい。すでにかなり金を使っている。

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