●VectorWorks/dwg形式
Illustrator8.01では開けませんでした。テキストと図形等の位置を見比べると解りますが、ズレが生じています。ですので、この形でのコンバートはかなりの危険が伴うと言っていいと思います。
●VectorWorks/dxf形式
Illustrator8.0.1で開いた物は矩形のオブジェクトがすべて無くなっています。円・線分の線幅は全て0ptでした。
Illustrator9.0で開いた物は矩形も現れましたが、dwg同様ズレが生じていますので、この方式もやめておいた方が良いと思います。
●VectorWorks/eps形式
VectorWorksの中では位置ズレもなさそうで、唯一使えそうなeps形式ですが、前述の通り、色は正しくありません。模様はIllustratorではパターンとして登録されて出てきます。各色はスポットカラーになりますので、DTPでそのまま使う場合、プロセスカラーに変換する必要も出てきます。
またIllustrator画面上のアートボードから、かけ離れた場所にオブジェクトが現れました。
Illustrator8.0.1、および9.0での相違は有りませんでした。
どちらもテキストの下に「線なし・塗り白」の矩形が配置されています。また円や塗りつぶし図形の部分は「線無し・塗りあり」のオブジェクトの上に、「線黒・塗り無し」とオブジェクトが重なって配置されていました。これはVectorWorksが面で制作するCADだからだそうです。これに対し、AutoCADは線で制作するCADで、その関係でAutoCADからコンバートしたDATAには、塗りが存在しないのではないか、とのことです。円に至ってはなぜか3重のオブジェクトが重なっており、一番下のオブジェクトは細かい無数の直線の集まりでできた物でした。
どちらにしても、VectorWorksからIllustratorへコンバートするにはeps形式で書き出した物を再編集するのが一番良さそうです。
●AutoCAD/dwg形式
Illustrator8.01では開けませんでした。色情報が無くなっていることを除けば、これを見る限り問題はなさそうです。
●AutoCAD/dxf形式
Illustrator8.01では全体が拡大されてしまい、矩形は消えています。線幅は0mmでした。9.0で開いた物はdwg形式で開いたものと相違なく、問題は見あたりませんでした。
●AutoCAD/eps形式
Illustrator8.01と9.0での相違はありませんでした。不思議なもので、この形式の場合、テキストが全て線で描かれています。当然テキスト編集は出来ません。
■以上のことから、AutoCADをdwgもしくはdxfで保存し、Illustrator9.0で開くのが、一番無難そうです。(dxfは前ページの「方言」が考えられるのでdwgの方が良いかも知れません。)VectorWorksの場合は、状況が許されるなら一度AutoCADに変換し(その際ズレが生じる場合はAutoCAD上で修正加え)それをdwg、dxfで保存する方がいいかも知れません。
ただし、ここで実験したケースとバージョンが異なったり、オブジェクトの作りが異なる場合など、完全にコンバート出来るとは限りませんので、やはり結論としては「やってみなければ解らない」ということになってしまいそうです。とはいえ、プリントアウトしたものを一からトレースすることを考えれば、やってみるだけの価値はあると思います。お客様からCADのDATAを頂いてしまった場合は、出来ればAutoCAD(AutoCADはCADソフトの中でもスタンダードなアプリケーションなので、持っていないか聞いてみる価値があると思います。)のdwgかdxf形式にしてもらい、合わせて必ずプリントアウトした物を添えてもらいましょう。