HITORIGOTO
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そうだ、選挙へ行こう



 11月9日の第43回衆議院選挙。これを読んでいるあなたは行かれただろうか。
私が投票所へ行ったときは、投票待ちの列が出来ていた。こんなことは選挙権を持って以来一度も無かった。「もしかして、ものすごい投票率になるんじゃないか?」とその時は思ったのだが、蓋を開けてみれば59.86%、戦後2番目の低さだったそうだ。

 私は選挙を棄権したことは一度もないが、棄権したくなる人の気持ちもわかる気がする。せっかくの日曜日に時間を取られたくない、行ってもどうせ何も変わりゃしない、なにより入れたいと思う人がいない、そんな所だろう。

 たしかに自分の一票なんて日本中の成人の数分の一でしかないし、自分が「この人、この政党」と思ったところで願いが届くわけじゃない。それどころか、ヤツら(政治家)が我々の言葉に耳を傾けようとするのは選挙前だけ(それも耳を傾けるフリだったりするし)、選挙が終わってしまえば我々の手の届かないところで、いつのまにか勝手に事を進めてたりする。
やかましいだけの宣伝カーは、ナントカのひとつ覚えみたいに名前を連呼するだけで、何が言いたくて、何をしようとしてるのか、一番肝心なことなどこれっぽっちも伝わってこない。テレビや新聞で、やっとそれらしい言葉を見つけてみれば、抽象的な綺麗事を並べているだけで「具体的に何をする」のかなどわからない。
なので誰かを選ぼうとすると、「この人がいい」じゃなくて「この人はヤダ」と、消去法で選ぶしかなくなる。それでも消去したあと、誰かが残ればいいが、全員消えてしまったりするからもどかしい。おまけに無理矢理なんとか誰かを選んで選挙に行ったあげく、晴れて当選した政治家が汚職だの賄賂だの…。これじゃ誰も選挙に参加しようなんて思わないだろう。

 期待したことが無かったわけじゃない。今度こそ日本を変えてくれるんじゃないかと…。熊本の殿様。見事に期待を裏切ってくれた。マドンナブームはブームだけだった。やたらと眉毛の長い社会党(当時)党首が内閣総理大臣になった時など、自民党と連立を組むなんて離れ業をやってのけた。そんなのアリか? 節操無さ過ぎ。結局なんでもいいんだ、誰がやっても変わらないんだ、という認識を植え付けただけで終わった。

 でも…。

 高校一年の時だったと思う。「ルーツ」というアメリカのテレビ映画が話題になった。黒人が虐げられてきた歴史を辿る物語。その中に選挙のエピソードがあった。黒人に選挙権が与えられて初めての選挙。立候補している候補者は全て白人主義で黒人を虐げる政策を掲げている。それでも主人公(黒人)が投票所へ行こうとすると、それが思わしくない白人から石を投げつけられるシーンだった。
「誰に投票しても同じでしょ? 危険なのになぜ?」と問いかける妻に、
「我々が人間であることを証明できる唯一の権利だから」と主人公は答える。

 決して極端な例では無いと思う。どの人にも入れたくなくても、何度期待を裏切られても、我々が何を望んでいるのかを伝えるには、選挙だけがたったひとつの手段であり、我々が行使できる数少ない権利なのだ。それを放棄するってことは「どうぞ私の未来は、あなた達(政治家)の好きなようにしてください。あなた達がいくら汚いお金で私腹を肥やそうと、我々から税金を巻き上げようと、戦争に巻き込もうと、一切文句は言いません。」と言ってるのと同じだと思う。

 今回の選挙はマニフェストとか言われて、確かにいつもより「何がしたいのか」が少しは解りやすかったと思う。それでも私には、どの政党の公約も納得出来なかった。多分2大政党で議席を分け合うのだろうと、結果も想像付いていた。支持政党も無く、支持したい候補者もいない私にとって、かえって悩ましい選択にすらなった。でも選挙にはいつものように行った。行かなければ、こうして文句すら言えないのだから。

 内戦が続いたカンボジアで国連立ち会いの元、初めて選挙が行われた様子がテレビに映し出されていたのを思い出す。徹夜組を含めた長蛇の列に並ぶ人々の目は、キラキラと期待に輝いていた。あの輝きを日本人も取り戻さなければならないのではないだろうか。
それにはまず、あなた達政治家を信頼させて欲しい。せっかくのマニフェストなのだから、きちんと実現して欲しい。我々が選んだ選択をどさくさに紛れて無効にしないで欲しい。それすら出来なければ、次回の選挙の投票率はさらに下がることだろう。もし投票率が50%を切ることにでもなったら、有権者の半数が参加しない選挙なんて、選挙と呼べないだろう。

 そして我々も政治家が約束したことを忘れてはならない。キチン約束を守ったかどうか見届けなければ、また勝手にいいようにされてしまうのが目に見えている。

 今回、政権を取った与党の主な公約(具体的な数字のあるもののみ)をここに書いておく。私的には実現しないで欲しい公約もあったが、約束を守るかどうかは別の話だ。数年後、このページを見返した時、ため息をつかずに済むように願ってやまない。

自民党
●2004年度不良債権を半減
●2005年 道路公団民営化
●2006年度GDP2%成長
●2007年 郵政公社民営化
●5年以内(2008年) 不法滞在外国人を半減

公明党
●厚生年金は2倍以上の支給、負担は年収10%以下まで
●国民年金は1.7倍の支給、負担は月1800円台まで
●以上を100年間保証

さて…。

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