HITORIGOTO
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流浪の道
--西安編--




北京を出発し、次の目的地「西安」に到着しました。西安は日本で言う京都みたいな所です。中国語では「しーあん」と発音するようです。その昔、中国の首都でした。その当時は長安という名前でした。>歴史で習ったと思いますが、覚えてます?
飛行機から西安を見下ろしたとき、なるほどここは肥沃な土地だと感じました。ゆえに昔からこの場所を都とし、この土地を治めることが中国の天下を取る、ということだったのでしょう。この西安をめぐり、中国史は展開されます。董卓、呂布、曹操…。歴史に疎い私でも名前くらい聞いたことのある人物が活躍した舞台です。

歴史の中心地、西安には当然、観光スポットが充実しています。ツアーの日程も、西安に一番時間を多く取っています。色んなところを回りました。玄奘三蔵(三蔵法師)が天竺から持ち帰った書物を格納するため立てられた「大雁塔」。楊貴妃の別荘「華清池」。秦の始皇帝のお墓「始皇帝陵」と「兵馬俑」。他にもモロモロ。で、まぁ私は、ふ〜ん、とか、ほぉ〜、とか見て回ったんですが、ツアーの他の方々は、それはもう、熱心に、食い入るように見ています。それもそのはず。このツアー参加者の半分以上が学校の先生だったのです。もちろん歴史の。そりゃ、自分が教壇で生徒に中国史の講釈を垂れているわけですから、そのホンマモンを目に焼き付けておきたいのでしょう。私なんぞとは観光に対する気構えが全く違います。
華清池

だいぶ他の方々と打ち解けてきました。思っていたよりみなさん、さばけた、いい感じの人たちばかりです。実は後に添乗員の大塚さんが、思わず口にしたセリフなんですけど、この大塚さん、中国のツアーでは、かなりのベテランで、特にシルクロードと言えば、引っ張りだこな方らしいです。で、会社の方から「すみません、またシルクロードの添乗なんですけど、受けてもらえませんか?」と、いつも申し訳なさそうに頼まれるんだそうです。強行日程、過酷な条件、大所帯、どんなハプニングが起こるかわからない、添乗員としては、かなり厄介なツアーの部類なんでしょう。
でも大塚さんはいつも大喜びで引き受けるそうです。なぜなら、シルクロードツアーに参加するお客さんは、多少のことは気にしない、というか、ある程度のハプニングは大歓迎といった人種ばかり集まるからだそうです。トイレのドアがないとか、シャワーからお湯が出ないとか、メシがマズいとか、飛行機が遅れたとか、そんなこと笑い飛ばす人ばかり。これが上海・桂林なんてツアー客だと最悪だそうで、中国に来て日本流のサービスを求めるから、なだめすかすのが大変なんだそうで…。
実際、打ち解けてみると、このツアーに参加しているみなさんは、確かにひとくせ、ふたくせありそうですが、気持ちの爽やかな人ばかりです。色んな年代の人がいますけど、みんなお友達感覚、つうか悪友といった感じ(笑)。団体行動、やだなぁ…と思ってた私でしたけど、このメンツならかえって楽しそうです。

話を観光に戻します。まぁ、色々見て回ったんですけど、そうですね、例えば華清池には楊貴妃が入ったお風呂なんてのがあって、みなさん興味深げに見てたんですけど、私にはハッキリ言って汚い水槽にしか見えませんでした。兵馬俑はかなり迫力ありましたが、当時はまだ発掘の真っ最中で、全貌は明らかになっていない状態でした。あと、西安は町が城壁に囲まれていて、東西南北に大きな門がありました。その西の門、それこそがシルクロードの出発点です。そこに立ったときは、ここから遠くインドまで続く道がのびているんだ…と、さすがに感慨にふけりました。で、私が西安で一番心に残っている観光地は…。
西安西門

西安で何泊目かの夜。大塚さんが提案しました。
「西安は夜市が有名なんです。結構にぎわってますよ。行ってみますか?」
そりゃもう喜んで、とみなさんで夜の町へ繰り出しました。夜市って、要するに屋台村です。空を飛ぶものなら飛行機以外、四つ足の者ならテーブル以外、なんでも食べる中国人です。屋台…。いったい何があるんだろう…。ワクワクものです。
で、まぁ、期待を裏切らず、あります、あります。訳のわからない食べ物の屋台が。カエルや蛇なんかは解るのですが、得体の知れない虫とか、もう何が何だかわからない食材でいっぱい。せっかくだから何か食べてみようと、ウロウロしてみたんですけど、いざ、自分の口に入れると思うと、さすがに気が引けます。で、まぁ、カエルくらいなら、と思い、カエルを食べさせてくれる屋台で、見ぶり手振りで注文しました。
味は鶏肉みたいだ、と聞いたことがあります。ならカエルだと思わなければ大丈夫だろう、と思ってました。はは。甘かったです。考えが。いや、確かに、多分鶏肉みたいだったんだと思います。つうか、ちゃんと味わえませんでした。なぜなら。。。
カエル。丸のまま唐揚げでした。丸のままですよ。頭も手足もちゃんとくっついたまま、そのまま唐揚げです。手渡されて、これをどう食えと。。。思い切って頭からかじろうかと、口を開けたんですけど、カエルも口開けてるんですよ。はは。こっち向いて。屋台のおじさんが、ケラケラ笑いながらこっちを見てます。で、しばらく悩んで、まず足を引きちぎって、足を食べました。ほどんど骨しかありませんでした。次ぎに、おもむろに胴体にかぶりつきました。一気に飲み込んで…。あとは食べられませんでした。私もまだまだ修行が足りません。。。
西安夜市

ついでに食事の話しもしておきましょう。実は中国の食事って、ハッキリ言って美味しくないんですよ。いや、もう、全然。日本で食べる中華料理なんて想像して行ったら、奈落の底へ突き落とされるくらいガッカリします。多分、外国人向けに料理を出しているお店なら、それなりに美味しいんでしょうけど、普通の中国のレストラン等で出される食事は、正直、日本人の口には全く合いません。とは言え、せっかく中国に来て、外国人向けの食事など食べたくない私たちです。郷にいれば郷に従え。普通に中国の人が食べる食事を食べてこそ、中国に来た意味があるってもんです。と言うか、食事は毎食ツアーに含まれているので、出された物を食べるしかありません。でも、ほとんど味が無く、ただ油っこいだけの食事を続けていると、さすがに嫌になってきます。で、私らは日本から醤油を大量に持っていったのですが、これが大好評でした。食事のたびに「木村さん、醤油ちょうだい。」とリクエストが。おかげで3日目にして完売(笑)。
大塚さんもさすがベテラン添乗員だけあって、日本からめんつゆを持ってきていました。ツアー日程中頃、めんつゆをみんなに振る舞って、日本食味のうどんにありつけたときは、拍手喝采でした。
それから、ビックリしたのがビール。食事の時は大抵何人かビールを頼みます。出てくるビールは瓶ビールでした。これが…。中身の量がバラバラなんです。並べてみると、多いのと少ないのでは、5cmくらい水面の高さが違います。ちゃんと王冠で栓がしてあるので、お店の人が少しづつビールをくすねているわけではありません。なんてアバウトな…(笑)。初めてそれを見たときはみんなで爆笑しました。

何日かの西安観光を終え、いよいよシルクロードの旅が始まります。

つづく。

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