さてさて、バスは一路、吐魯蕃(とるふぁん)へ向けてひた走しっています。やはり通路にはスイカとハミウリがゴロゴロ転がります。こここそが、今走っている道こそが、シルクロードです。コールタール(?)か何かで舗装してある道路がひたすら真っ直ぐのびています。道は1車線。というか、ラインが引いてないだけです。車同士がすれ違うことは滅多にないので、センターラインなんて必要ないでしょう。途中、一度だけ交差点がありました。遮るものなんて何もない、見通しの良い、と言うか、見通しだらけの交差点でした。ここが…。交通事故の名所なのだそうです。とにかく周りに何も無いので、距離感が解らなくてぶつかるそうです。
烏魯木斉を出てしばらくして大塚さんがいいました。
「あ、竜巻ですね。」
「えぇ〜〜〜っ!!」ツアー客全員が身を乗り出します。確かに遙か遠くに竜巻が見えます。おぉ。竜巻なんて初めて見た。と口々に。またしばらくして、大塚さん
「蜃気楼が出てますね。」
「えぇ〜〜〜っ!!」 以下同様。
でもこれ、しばらくして、みんな飽きちゃいました。竜巻も蜃気楼も、当たり前のように出ては消え、消えては出て。「あ、また竜巻だね。」「そうだね。」ってな具合です。
所々で小さなオアシスを通過しました。中には、もう人が住んでない場所もありました。多分もうじき吐魯蕃に到着するのでしょう。そのうちのひとつで、途中下車して買い込んだスイカやハミウリをみんなで食べました。
こうしてオアシスを結ぶ砂漠の道路を進んでいて、私はあることを思い出しました。それは小学生の時ならった、食物連鎖です。まず水と日光があって、そこに植物が生息し、その植物があるから草食動物が生きることが出来て、草食動物をエサにする肉食動物が…。そして人間がいる。全ての生命の源は、まず水と日光。確かそう習ったと思います。
ここを旅していると、まさにそれが縮図となって見えるんですよ。ここらのオアシスって、遠く天津山脈などの雪解け水が地下水となって、たまたまわき出たところに形成されているんだそうです。で、オアシスって、砂漠の中に忽然と現れるんです。本当にいきなりって感じです。そこは緑が生い茂るドーム状の空間。その中では、山羊やロバなどの家畜と人間が暮らしています。そして一歩外を出ると、いきなり荒野が広がっています。その落差がものすごくて、要するに水がある所と、無いところでは、生命の育まれ方が全く正反対なんですよね。そんなことを感じました。
吐魯蕃到着。広がる牧歌的な風景。行き交うロバや羊。純朴そうな人たち。あぁ、これこそが思い描いていた風景です。私にとっては、この町全部が観光スポットです。自由行動の時にはカメラ片手に一日中町の中をフラフラ歩いた私でした。
町の中にはやはり市場があって、干しぶどうを買ったら、ゴミ出し用のポリ袋みたいな大きさの袋に山盛り入れられ、「そんなにあっても困る」とお金だけ払って小さな袋に詰めてもらったのを覚えてます。それでも、それから毎日、一所懸命干しぶどうばっかり食べてました(笑)。あと、羊の肉がこちらではポピュラーなようで、やはり市場で買い食いしました。美味しかったです。
吐魯蕃では、交河故城と高昌故城という遺跡に行ったのですが、これらのことは覚えてません(汗)。それから火焔山(かえんざん)にも行きました。火焔山とは、あの三蔵法師の西遊記にも出てくる場所です。お話の中では「1年中、炎が覆っている土地で、近づくもの全てを焼き尽くしてしまう」というストーリーだと思います。違ったかな? とにかく暑いところなんです。日中の気温は40度を下回ることはまずないそうです。はは。そこへ行きました。暑いの嫌いなんですけど、話のネタにはもってこいです。みなさん覚悟を決めて火焔山へ向かいました。ところがです。40度どころか全然涼しかったんです…。こんなことは1年のうちに1回あるか、ないかだそうです。おまけに雨まで降ってきました。年間降雨量、数ミリ〜十数ミリという砂漠の中で、です。日頃の行いが良いとか、悪いとか、そんなレベルの話ではないです。私もけっこう雨男だったりするんですが、まさか砂漠の真ん中で雨を降らすとは思いもしませんでした。まぁ、これはこれで、話のネタにはなりますが(笑)。
とにかく、吐魯蕃について何か書こうと思っても、このくらいしか言葉にできません。でも、とっても素敵な所でした。どんな町なのか、写真を見て貰うのが一番だと思いますので、
こちらに置いておきます。。
つづく。